- 象牙の歴史は非常に古く、はっきりとしたことは分かっていませんが約4万年前と推測され、さらに美術工芸品として象牙が用いられたのは約3万年ほど前と考えられています。
歴史上明確なもとして古くは旧約聖書や仏典の中にも象牙細工や象牙師の記述が残されており、イギリス大英博物館には約3600年前、モーゼが活躍した時代の象牙を散りばめた2本の短刀や象牙作りの椅子が所蔵されている。
他にも歴史上の書物には「象牙が飾られたギリシア皇帝の屋蓋」や「イタリア・エルトリア王朝の象牙の王座」ローマ高官の象牙椅子」など象牙を高級品として珍重した記述が多くあることから、はるか昔から象牙は人々を魅了し続けてきたことが伺えます。 - 日本では約1200年前、8世紀奈良時代に中国から渡った紅牙揆婁尺(こうげばちるしゃく)が正倉院御物として収蔵されています。その後、江戸時代に広まった三味線と共に象牙の撥(ばち)の需要が高まり、撥に装飾を施す人々が牙彫師のはじまりと思われます。
- 象牙細工の始まりは江戸時代・享保年鑑(1716〜1735)に大坂の彫師、吉村周山が中国製の象牙細工を摸製したのが始まりといわれ、主に根付の象牙彫が行われていたようです。その後、根付と撥の普及と共に象牙細工は一つの産業として開花しました。
明治維新後は洋服の普及と共に根付の需要はなくなるが、1873年のウィーン万博への出品を機に日本の象牙工芸品は輸出貿易が急増加しました。 - 1972年の国連人間環境会議において「特定の種の野生動植物の輸出、輸入及び輸送に関する条約案を作成し、採択するために、政府又は政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに召集する」ことが勧告されました。
これを受けて、米国政府及び国際自然保護連合(IUCN)が中心となって野生動植物の国際取引の規制のための条約作成作業を進め、1973年3月3日にワシントンで本条約が採択されました。
通称ワシントン条約、正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」のことで、CITES(サイテス)とも呼ばれます。- ワシントン条約(CITES)(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的としています。
象牙も元は歯と考えていただければよいかと思います。初めは乳歯牙で生え変わることで大きな牙となります。
乳歯牙は1kg〜5kgまでの小さなものです。
象牙には大きくハード牙とソフト牙の2種類があります。
ハードとソフトの分類は主に象が飲む水の鉄分によって決まってきます。
ですのでその国の水の成分によってハード、ソフトに分類されアフリカ諸国であっても国産出国によってその種類が影響されています。
ハード牙の特徴 | ソフト牙の特徴 |
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ハード牙は牙が綺麗な形で延びており見た目よりも軽く横物や置物などに最適です。 | ソフト牙の牙は少し太めで目方も大目でずんぐりむっくりという感じですが彫刻細工などには適しているといわれます。 |
象牙の印材、彫刻品などは一般にアフリカ象が95%以上占めております。
標準和名:アフリカゾウ学名:Loxodonta africana
長鼻目ゾウ科アフリカゾウ属
アフリカゾウは現存する陸上最大の動物と言われます。一般にサバンナゾウとマルミミゾウという二種類の亜種が知られています。
サバンナや砂漠で暮らすサバンナゾウに対して、マルミミゾウは中央アフリカから西アフリカにかけての森林に生息し、やや小型で牙や趾に違いがあり、その名のとおり丸い耳をしています。
サファリでは数多くのゾウに出会えるため、絶滅の危機を脱したのではないかと思われがちですが、絶滅が危惧されている動物であることには間違いはありません。
一方で、保護区内では数が増加し、とくにアフリカ南部では数が増えすぎたために植生を食い荒らし問題になっています。